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星組『炎のボレロ』

<第4回>

▽星組公演 ミュージカル・ロマン『炎のボレロ』
▽宝塚大劇場1988年2月~3月
作・演出・・・柴田侑宏
作品紹介・・・19世紀中頃のメキシコを舞台に、野性的な青年貴族の恋と復讐の物語。
作品評★★★★★★☆☆☆☆
鑑賞日・・・2002年6月9日

▽19世紀、フランス・ナポレオン3世によるメキシコ侵略という歴史的事件を背景とし、フランスに対抗し反逆の罪で一家皆殺しにされた大農園領主の生き残った息子(アルベルト日向薫)が、復讐を果たすべく、メキシコ復興運動(革命共和軍)メンバーと共に闘うというストーリー。
ただの復讐物だと説得力にかけてしまうところを、主人公アルベルトが共和軍メンバーと係るうちに、個人的恨みを超え、祖国のために闘うという大義へとその思いを昇華させることで、主人公をより魅力ある人物にし、またストーリーも無理なく展開させることに成功していると感じました。
そんな中で、表面的にはいわば祖国を売ってフランス側についたドロレス伯爵萬あきらの娘カテリーナ南風まいとの運命的な恋。
さらに、アルベルトを捕える任務に、いやフランスのため不治の病ながら残りわずかな命のすべてをかけるジェラール・クレマン大尉紫苑ゆうとジェラールを気遣う恋人モニカ毬藻えりとの身分を越え愛し合う様。この魅力的な中心人物の恋模様と革命の進行とが並行し、中盤から後半にかけて息を尽かせぬ展開に。ラストは少々拍子抜けしドラマスティックさに欠ける点が惜しいところです。
この作品は日向薫さんのトップお披露目公演で、彼女の魅力を引き出そうと、炎のような熱い男としてアルベルトが描かれたわけだけれど、対する紫苑ゆうさんの方が、ストレートに残された時間を精一杯生きる熱い男として演じておられ、日向さんのほうは熱いのだけれど、どこか冷静な感じがあり、命を賭けて戦っているという印象は薄く感じました。むしろ共和軍のフラミンゴ麻路さきさんの方がより熱く感じました。
最後に娘のために命を賭けたドロレス伯爵萬あきらさんや、悪玉ブラッスール侯爵麻月鞠緒さんの息子でカテリーナの許婚ローラン燁明さんなどが脇しっかりと固めつつ、存在感を示す好演。

※併演作品…ショー『Too Hot!』 作・演出 三木章雄でした。


※パンフレットを持っていませんので、感想のみで失礼しています。



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